Kick(キック)で活動する配信者、なかでも配信者団体「キッカーズ」周辺では、この1年ほどのあいだに逮捕や捜査のニュースが立て続けに出ている。「結局、誰が何をして捕まったのか」「今どうなっているのか」がわかりにくくなっている人も多いはずだ。
この記事では、Kick配信者を巡る逮捕・捜査の事案を、確認できる範囲の事実にもとづいて時系列で整理する。SNS上の噂と、報道で確認できる事実は分けて書く。新しい事案が出てきた場合は、この記事に追記していく。

まず結論:現時点で確認できている事案
2026年9月4日時点で確認できた、Kick配信者(キッカーズ所属者を含む)の逮捕・捜査事案は次の4件だ。
| 時期 | 配信者 | 容疑・内容 | 現在の段階 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月 | ぞっくん(舘内洋行) | 迷惑防止条例違反(卑わいな言動) | 逮捕 |
| 2026年2月 | しんやっちょ(大原誠治) | 名誉毀損 | 逮捕→略式起訴・罰金30万円(前科合計5犯)で確定 |
| 2026年3月・5月 | ルイージ | ストーカー規制法違反、脅迫 | 逮捕(2回) |
| 2026年8月 | 愛之助 | 礼拝所不敬罪、公然わいせつ罪 | 在宅捜査(未逮捕) |
なお、タイトルには「書類送検」という言葉も入れているが、調べた範囲では、Kick配信者が実際に書類送検された事案は今のところ確認できていない。書類送検は、逮捕せずに事件の内容を検察に送る手続きのことで、愛之助のケースが今後この段階に進む可能性はあるが、2026年9月4日時点ではまだ「在宅捜査中」の扱いにとどまっている。この点は誤解のないよう、先に断っておきたい。
ここから、それぞれの事案を詳しく見ていく。
2025年6月 ぞっくん(舘内洋行)逮捕:女性用下着を頭にかぶり徘徊
最初に逮捕に至ったのが、キッカーズのメンバー「ぞっくん」こと舘内洋行容疑者(当時51歳)だ。
2025年6月2日から3日にかけて、千葉県市川市の住宅街で、女性用の下着を頭にかぶり、体操着とブルマー姿で生配信をおこなった。洗濯物を干していた近隣住民が不審に思って通報し、千葉県迷惑防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで逮捕された。
週刊女性PRIMEの報道によれば、本人は「視聴者を増やすためにやった」という趣旨の供述をしたとされる。
当時のキッカーズは2025年3月に発足したばかりの団体で、在籍メンバーは約20名、月収1,000万円規模ともいわれていた。視聴者数で序列が決まる組織体制が、メンバーを過激な行動に駆り立てているのではないかという指摘は、この事件をきっかけに何度も繰り返されることになる。
2026年2月 しんやっちょ(大原誠治)逮捕:名誉毀損容疑、逮捕はこれで何度目か
2026年2月22日、キッカーズの2軍メンバー「しんやっちょ」こと大原誠治容疑者(43歳)が、埼玉県の川口警察署に逮捕された。容疑は、別の配信者「みゅーつー」に対する名誉毀損だ。
具体的にどのような発言が名誉毀損にあたるとされたのかについては、面会した知人配信者がX上で「本人が公表しないでほしいと言っている」と説明しており、詳細は明らかにされていない。
しんやっちょについては、今回が初めての逮捕ではない。確認できた範囲だけでも、次のような経歴がある。
- 2015年:知人の車を無免許で運転し配信、無免許運転容疑で逮捕
- 2015年(同年別件):交番に侵入する様子を配信し、建造物侵入容疑で逮捕
- 2018年:配信中に飲食店で客の女性に暴行したとして逮捕
- 2023年8月:泥酔状態で焼肉店「牛角」に乱入し、大声を上げる、テーブルに土足で上がるなどして営業を妨害
- 2024年5月:上記の件で威力業務妨害容疑により逮捕
- 2024年9月17日:懲役10か月・執行猶予4年の有罪判決
キッカーズには「メンバーになってから刑事事件で逮捕された者はクビ」という内規があり、2026年2月の逮捕についても、この規定に沿った対応が取られたとみられる。
追記(2026年9月10日):その後、略式起訴・罰金30万円で刑事責任が確定
キッカーズ公式サイトの発表(2026年3月4日付「しんやっちょ 釈放のご報告」)によれば、しんやっちょは同日に川口警察署から釈放され、この名誉毀損の一件は略式起訴となり、罰金30万円が科されたという。同発表では「これにより、しんやっちょの前科は合計で5犯となります」とも明記されている。
略式起訴・罰金は、逮捕容疑のまま終わる話ではなく、刑事手続き上は正式な有罪(前科)にあたる。つまり2026年2月の名誉毀損容疑は、単なる「容疑」段階で終わらず、刑事責任が確定した事案として扱う必要がある。この続報は、キッカーズ公式サイトのみが情報源であり、大手報道による裏付けは確認できていない点には注意したい。
しんやっちょはその後、2026年4月19日にいったん1軍へ昇格したものの同日中にオーディション妨害を理由に2軍へ降格、さらに4月22日には「キッカーズ裁判」でルール4条(未成年淫行禁止)違反により脱退処分を受けている(いずれも公式サイトの発表による。大手報道での裏付けはなし)。ただし脱退から約1か月半後の6月1日、2軍監督のスカウトという形でキッカーズに再加入し、2026年9月時点でも2軍メンバーとして活動を続けていることが公式サイト・本人のKick/Xアカウントから確認できる。
2026年3月・5月 ルイージ逮捕:ストーカー規制法違反で2度の逮捕(未確認情報が多い点に注意)
配信者「ルイージ」は、2026年に入って2度、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されたと伝えられている。
1度目は3月17日。10日間の勾留を経て、3月27日に釈放されたとされる。ところが釈放から間もない5月中旬、北海道旅行中に元交際相手へライブ配信で暴言を吐いた、飲食店で代金を支払わずに店を出た、といったトラブルが起きたと伝えられている。
そして5月21日朝、自宅に警察官が訪れる事態になった。応答がないなか、キッカーズの仲間であるしんやっちょが自宅を訪ねて弁護士に電話相談したり、本人がドアをガムテープと突っ張り棒で塞いで籠城したりする様子が、周囲の配信者によって生配信されたという。最終的に、脅迫罪とストーカー規制法違反の疑いで再逮捕されたと伝えられている。
ここで一つ、はっきりさせておきたいことがある。このルイージのケースについては、大手ニュースメディアが報じた記事を見つけることができなかった。 情報源はまとめブログやX投稿が中心で、籠城の詳細や、過去に示談金600万円を支払ったという情報についても、裏付けとなる報道は確認できていない。SNS上ではかなり具体的に語られている出来事だが、現時点では「そう伝えられている」という扱いにとどめておく必要がある。
2026年8月 愛之助、将門塚での迷惑配信:逮捕ではなく「在宅捜査」
もっとも新しい事案が、キッカーズ2軍メンバー「愛之助」による、東京都千代田区大手町の史跡「将門塚(まさかどづか)」での迷惑配信だ。将門塚は、平安時代の武将・平将門の首を供養したとされる都指定の旧跡である。
2026年8月19日、愛之助は将門塚の石碑によじ登って抱きつき、奇声を上げ、下半身を露出する様子を配信した。史蹟将門塚保存会の事務局が置かれる神田神社が丸の内警察署に相談し、被害届を提出。礼拝所不敬罪・公然わいせつ罪の疑いで在宅捜査が始まった。
この件は複数の大手メディアが報じており、経緯もある程度追いやすい。

- 8月21日:本人がXで謝罪
- 8月22日:キッカーズが脱退処分を発表(Kickのアカウントも「999年BAN」)。ただしこのとき、キッカーズは「在宅起訴」と発表していた
- 8月25日:キッカーズが訂正・謝罪。正しくは「在宅起訴」ではなく「在宅捜査」の段階だったと説明
- 8月28日:本人がニコニコ生放送に出演し「ついに俺も公然わいせつ、つきました!」などと発言
この一件は「逮捕」「在宅起訴」「在宅捜査」という言葉の違いを考えるうえでも参考になる。逮捕は身柄を拘束すること、在宅捜査は身柄を拘束せずに捜査を続けること、起訴は検察が刑事裁判にかけると決めることで、それぞれ意味も重みもまったく違う。キッカーズ自身が一度「在宅起訴」と誤って発表し、後から訂正したことからもわかるように、この種の言葉は関係者でも混同しやすい。まとめサイトやSNS上には、訂正前の「在宅起訴」という表現がいまだに残っている可能性もあるので、この記事では訂正後の「在宅捜査」で統一している。
2026年9月4日時点で、この件が書類送検や起訴に進んだという続報は確認できていない。動きがあれば、この記事にも追記する。
(参考)逮捕に至らなかったケース:大阪でのエアガン配信
逮捕までは至らなかったが、Kickの迷惑系配信者問題を象徴する事例として、2025年4月に大阪で起きたエアガン配信も触れておきたい。
大阪・関西万博の会場付近で、配信者がマシンガン形のエアガンを両手で構えながら生配信をおこない、大阪府警から事情聴取を受けた。市販のエアガンを持つこと自体は違法ではないとされ、逮捕・書類送検には至らず、誓約書を書いて解放されたと東洋経済オンラインが報じている。この配信で22万円の収益を得たと本人が明かしたことも話題になった。
なぜKick配信者の逮捕が相次いでいるのか
ここまで見てきた事案には、いくつか共通する背景がある。
一つは、キッカーズという組織の構造だ。視聴者数によって序列(1軍・2軍・3軍)が決まる仕組みのため、目立つための行動がエスカレートしやすい。実際、ぞっくんの事件を報じた週刊女性PRIMEも、この組織体制がメンバーを過激な行動に走らせているのではないかと指摘している。
もう一つは、Kickというプラットフォーム自体の性質だ。東洋経済オンラインなど複数のメディアが、Kickは他の配信サービスに比べて迷惑系配信者が目立ちやすいと報じている。海外でも、Kickに関連した配信者のトラブルが複数報じられており、日本国内に限った問題ではなさそうだ。
ただし、これは「なぜ問題が起きやすいのか」という構造の話であり、個別の配信者が実際に何をしたか、どんな罪に問われているかとは別の話だ。この記事では、その両方を混同しないよう、事案ごとに事実と伝聞を分けて整理している。

この記事の情報の確実性について
実在の個人が関わる刑事事件を扱うテーマのため、それぞれの事案の情報源の強さを整理しておく。
- ぞっくんの逮捕:週刊女性PRIME(ライブドアニュース掲載)による報道で確認。
- しんやっちょの逮捕:ユーチュラなどの報道で確認。逮捕容疑の詳細は本人の意向で非公表。その後の略式起訴・罰金30万円確定、4月の脱退処分、6月の再加入は、いずれもキッカーズ公式サイトの発表のみが情報源で、大手報道による裏付けはない。
- ルイージの逮捕:大手報道が見当たらず、まとめサイト・SNS投稿が情報源の中心。詳細は未確認情報として扱う。
- 愛之助の在宅捜査:スポニチアネックス、J-CASTニュース、女性自身、東スポWEBなど複数の大手メディアで確認。
逮捕段階にある人物については、あくまで「容疑」であり、有罪が確定した事実ではない。この記事でも、しんやっちょの2024年の判決以外は「容疑」「疑い」という表現を使っている。
まとめ
Kick配信者を巡る逮捕・捜査事案を時系列で整理すると、2025年6月のぞっくん逮捕、2026年2月のしんやっちょ逮捕、2026年3月・5月のルイージ逮捕、2026年8月の愛之助の在宅捜査、という流れになる。いずれもキッカーズという同じ配信者団体に関わる人物であり、視聴者数で序列が決まる組織の構造が、こうした事案の背景にあるとみられる。
一方で、「逮捕」「在宅捜査」「書類送検」「起訴」はそれぞれ意味が異なり、キッカーズ自身が言葉を混同して訂正した例もある。SNSやまとめサイトの情報を見るときは、それが確定した事実なのか、まだ捜査段階の話なのかを区別して受け取る必要がありそうだ。
新しい事案や続報が確認でき次第、この記事は随時更新していく。


