Xの開示請求にかかる実際の費用と期間はどれくらいか

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X(旧Twitter)などで誹謗中傷を受け、「投稿した相手を特定したい」と開示請求を検討し始めると、真っ先に気になるのが「結局いくらかかるのか」「どれくらい時間がかかるのか」ではないだろうか。

084deepsでは以前、木村花さん事件やガーシー事件など、開示請求が話題になった事例をまとめた記事を公開している。今回はその実務編として、費用の内訳と期間の目安を、法律事務所系のメディアの解説をもとに具体的に整理する。

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費用はいくらかかるのか:内訳で見る

開示請求にかかる費用は、大きく分けて「裁判所への実費」「弁護士費用(投稿者の特定まで)」「損害賠償請求にかかる費用」の3つに分けられる。

裁判所への実費:数千円〜2万円程度

裁判所に納める手数料や郵便切手代(予納郵券)は、それほど高額ではない。目安として、申立手数料が1件あたり1,000円程度、予納郵券が相手方1件あたり5,000円程度とされ、合計すると数千円から2万円程度に収まることが多い。

弁護士費用(投稿者の特定まで):約30万〜50万円

投稿者を特定するところまでを弁護士に依頼する場合、目安として着手金20万〜30万円、報酬金10万〜20万円、合計で約30万〜50万円程度かかるとされる。

損害賠償請求まで進める場合:さらに20万〜40万円

投稿者を特定したあと、慰謝料などの損害賠償請求まで依頼する場合は、さらに20万〜40万円程度の追加費用がかかるとされる。

これらを合計すると、開示請求から損害賠償請求までを一通り弁護士に依頼した場合、総額で数十万円〜100万円程度が相場という見方が、複数の法律事務所系メディアで示されている。

> 出典:ベンナビIT「開示請求後の示談金相場はいくら?実費や弁護士費用・費用倒れを防ぐ方法も解説」、弁護士保険のエール「発信者情報開示請求とは?―手続・実例・弁護士費用」

決して安い金額ではないため、「本当にここまでする価値があるか」を、被害の深刻さと照らし合わせて考える必要がありそうだ。

期間はどれくらいかかるのか

期間についても、決して短くはない。訴訟(本案訴訟)まで進む場合、判決が出るまでに半年から1年以上かかるケースもあるとされている。

さらに注意したいのが、投稿記録(アクセスログ)の保存期間だ。多くのケースで、投稿から3〜6ヶ月程度でログが削除されてしまうリスクがあるとされ、時間との勝負になる面がある。「そのうち対応しよう」と後回しにしているうちに、証拠となるログが消えてしまう可能性がある、という点は知っておいたほうがいい。

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2022年の法改正で手続きが一本化された

期間に関して、押さえておきたい制度変更がある。2022年10月1日に施行された改正プロバイダ責任制限法により、「発信者情報開示命令事件に関する裁判手続」という新しい非訟手続きが導入された。

従来は、(1)X社などのコンテンツプロバイダにIPアドレスなどの開示を求める手続きと、(2)そこから判明した通信会社(経由プロバイダ)に氏名・住所の開示を求める手続きという、2つの別々の法的手続きを踏む必要があった。この改正によって、一連の請求を一つの手続きにまとめて行うことが可能になっている。

複数の法律事務所系メディアは、この新手続きによって手続きの簡易化・迅速化が期待されると解説している。ただし、「従来より具体的に何ヶ月短縮されるのか」という定量的なデータまでは、今回の調査では確認できなかった。制度としては迅速化の方向に進んでいる、という理解にとどめておくのが正確だろう。

> 出典:アシロ法律相談ナビ「発信者情報開示請求で誹謗中傷を止める!2022年10月から始まった新しい手続きとは?」、契約ウォッチ「プロバイダ責任制限法改正とは?」

「費用倒れ」のリスクとどう向き合うか

開示請求を考えるうえで避けて通れないのが、「かけた費用に見合うだけの結果が得られるか」という費用倒れのリスクだ。

裁判で勝訴しても、相手に負担させられる弁護士費用は、実際に支払った金額そのものではなく、認められた損害賠償額(慰謝料など)の1割程度にとどまるのが原則とされている。つまり、慰謝料が数十万円程度にとどまった場合、弁護士費用のほうが高くつく可能性は十分にある。

スマートフォンで検索バーを操作する手元

一方で、発信者情報開示請求は専門性が高く、弁護士に依頼しなければ実務上難しい手続きであることを考慮して、開示請求にかかった弁護士費用の全額を損害賠償として認めた裁判例もある(合計88万5,600円の全額を認めた例)。すべてのケースでこう認められるわけではないが、「弁護士費用は自己負担で終わるとは限らない」ことは知っておいてよさそうだ。

費用倒れを防ぐ観点から、法律事務所系メディアが挙げている工夫は次のとおりだ。

  • 投稿内容の悪質性など、相応の根拠を示して示談金を請求する
  • 開示請求にかかった弁護士費用そのものを、損害賠償請求に含めて請求する
  • 依頼前に弁護士へ、回収の見込み額と総費用を比較した「費用対効果」を確認しておく

> 出典:ベンナビIT(上記)

まとめ

Xの開示請求にかかる費用は、投稿者の特定までで約30万〜50万円、損害賠償請求まで進めるとさらに20万〜40万円が加わり、実費も含めると総額で数十万円〜100万円程度が相場とされる。期間は訴訟まで進めば半年〜1年以上かかることもあり、投稿記録が3〜6ヶ月程度で消えるリスクもあるため、対応を急ぐ必要がある。

2022年の法改正で手続きが一本化され、迅速化が期待されているとはいえ、費用・時間ともに軽い負担ではない。実際に開示請求を検討する場合は、費用倒れのリスクも含めて、まず弁護士に相談して見通しを確認することをおすすめする。

なお、この記事は一般的な相場・制度の説明であり、個別の事案でどれくらいの費用・期間になるかは、投稿内容や相手の状況によって大きく変わる。具体的な判断は、弁護士など専門家に相談してほしい。

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