北斗系
北斗神拳
1800年以上の歴史を持つ一子相伝の暗殺拳である北斗神拳は、三国志時代の中国で生まれ、唐の時代に日本に伝わりました。
創始者シュケン以降、ケンシロウが第64代伝承者として知られており、彼の師であるリュウケンが第63代、その前は「蒼天の拳」の主人公である霞拳志郎が第62代、彼の父霞鉄心が第61代を務めました。義兄弟のラオウ、トキ、ジャギや、唐の時代の伝承者、龍斎など伝承者でない使い手も存在します。
北斗神拳の核となる技術は、人体の「経絡秘孔」と呼ばれる708箇所の点を突くことで、内部から敵を破裂させる奥義です。この技術は、特殊な方法でしか解除できず、通常は一撃で相手を死に至らしめます。身体の特定部分を破壊したり、相手を操ったり、記憶を消すなどの技も可能です。また、死を操る技を追求することは生を操る技を探求することでもあり、怪我や病気を治癒することも可能です。
北斗琉拳(北斗劉家拳)
北斗琉拳(北斗劉家拳)は、北斗神拳と同じく三国志の時代に誕生した北斗の流派の一つです。
修羅の国で伝承され、「北斗神拳が三派に分かれた際に劉家を守るために創られた」とされています。アニメでは、オウカの息子リュウオウが創始者とされています。
主な伝承者にはカイオウ、ヒョウ、ハン、シャチ、そして彼らの師であるジュウケイがいます。
劉宗武や劉玄信、魏瑞鷹、夏文麗、泰峰などがこの拳法を学び、魏瑞鷹は北斗劉家拳をベースに極十字聖拳を創始しました。拳法の発祥地は羅聖殿であり、北斗神拳の陰で亡くなった伝承者たちの怨念が渦巻いているとされています。
北斗劉家拳は、基本的な拳法が北斗神拳に似ており、秘孔術も使用しますが、こちらでは経絡破孔と呼び、数が708個から1109個と多くなっています。
北斗神拳との最大の違いは「魔界」という概念です。
使い手が強い怒りや憎しみを抱えると「魔界」に至り、魔人のような形相となります。この状態では、邪悪な「魔闘気」を発し、敵の攻撃を吸収したり、相手の位置感覚を狂わせるなどの能力を発揮します。
北斗劉家拳
約1800年前に蜀の国の劉家を守るために創設された北斗三家拳の一つで、その伝承者は劉宗武、先代伝承者は劉玄信です。劉宗武の同門には夏文麗や泰峰、そして門下を離れた魏瑞鷹などがおり、彼らは寧波の泰聖院を拠点としています。
この拳法には「北斗神拳に伝承者がいない場合、劉家拳から選ばれる」という掟があり、北斗神拳の伝承者は劉家拳の者に認められなければなりません。
そのため、北斗神拳の伝承者になるには「天授の儀」という死合いを劉家拳の者と行い、勝利しなければならないとされています。
しかし、この掟は劉家拳の使い手にとって屈辱的であり、魏瑞鷹や劉宗武は北斗神拳に対して強い対抗心を持っています。
劉家拳は北斗の拳の中で北斗琉拳と同一視されており、ラオウ、トキ、ケンシロウの三人が北斗神拳の伝承者候補として選ばれたと言われています。
劉家拳の真髄はその圧倒的な闘気にあり、その力は空気を支配し、距離感を歪めて相手の動きを封じることができます。劉宗武はその闘気を使って不動明王の結界を形成し、これに拳志郎は驚いたとされます。拳法の特徴としては、強烈な闘気波を放つことが挙げられ、「猛烈な闘気を吐く拳」と表現されるシーンもあります。これは北斗琉拳と似ていますが、劉家拳は魔界に入って魔闘気を操るような描写はないようです。
北斗孫家拳
約1800年前、呉の国の孫家を守るために生まれた北斗三家拳の一つです。
この拳法は作品中で霊王(芒狂雲)やシャルル・ド・ギーズ、及び彼らの師父によって使われています。芒狂雲は第一人者とされるが、師父を殺してしまったため、正統な伝承者とは見なされていないようです。
この拳法の特徴は「操気術」と呼ばれる技で、闘気を掌から発して物体を変形させたり、銃弾の軌道を変えたりすることができます。また、敵の闘気を吸収し自らの力とすることも可能です。この術を会得した拳志郎は、後に秘孔を突く「天破活殺」という技を身につけました。
しかし、この拳法の力の源は「狂気」であり、それを高めて極限の闘気を纏う奥義が存在します。その中で、経絡秘孔の位置を変える「秘孔変位」という技があり、芒狂雲は狂気と阿片の助けを借りてこれを習得した初の人物です。
ただし、師父によると、狂気に依存する北斗孫家拳は「人間の強さ」に過ぎず、「神」である北斗神拳には及ばないとされています。
北斗曹家拳
北斗三家拳のひとつで、約1800年前に魏の国の曹家を守るために創られた武術です。
初代伝承者は章大厳で、物語中では張太炎に受け継がれています。
この拳法は北斗神拳に匹敵する破壊力を有する剛の拳で、強力な突きや蹴りで相手を破壊します。
張太炎は章大厳を倒す目的で、剛の拳法を駆使しつつ、柔の技「爆龍陽炎突」と「幻夢百奇脚」を編み出しましたが、これは父への憎しみによるものと評されており、北斗神拳の神域には及ばないとされています。拳法の一環として、秘孔術を用いて他者の脳を操り、操り人形のようにする技も有しています。
伝承者となるためには、先代伝承者と死闘を繰り広げる必要があり、その過程で親子であっても戦いは避けられません。
章大厳は烈山には曹家拳を教えず、代わりに妾の子である張太炎に才能を見出し、伝承しました。太炎が大厳を破った後、北斗曹家拳伝承者として認められました。
この拳法の伝承者や関連者を守るために、五叉門党という武装集団が存在し、章大厳は彼らに太炎が自分を超える日まで守るよう命じました。
南斗系
南斗聖拳は北斗神拳と対をなす拳法で、「陽」の拳として知られています。
内部からの攻撃を得意とする北斗神拳に対して、南斗聖拳は外部からの攻撃により敵を破壊。
108派に及ぶ多数の流派が存在し、特に優れた「南斗六聖拳」と呼ばれる6派が頂点にあり、かつては皇帝の宮城を守る衛兵でした。
各南斗六聖拳にはさらに他の流派が属しており、例えば南斗紅鶴拳には23派、南斗鳳凰拳には29派が含まれる。
また、南斗聖拳の多くの流派は鳥の名を冠しており、鷲や鳳凰など様々な鳥を模した拳法が伝わっています。
南斗孤鷲拳
南斗孤鷲拳は南斗六聖拳の一派で、「殉星」を宿星に持つ流派です。
この流派の伝承者はシンで、彼は先代の伝承者フウゲンから拳を受け継ぎました。
シンはフウゲンのもう一人の弟子ジュガイと共に訓練を受けていましたが、ジュガイは復讐心により魔道に落ちてしまいます。
その後、シンは南斗の里での南斗十人組手を勝ち抜き、南斗聖司教から正式に伝承者と認められました。
一方、ジュガイも南斗孤鷲拳の技を捨ててはおらず、後にケンシロウと戦います。フウゲンはシンによって脚の腱を切断され、ケンシロウと出会った時点では既に拳を使うことができない状態でした。
南斗水鳥拳
南斗水鳥拳は「義星」を宿星とする南斗六聖拳の一つで、伝承者であるレイは、その華麗で流麗な動きと、絶大な殺傷能力を持つ拳法を使う。
この拳法は、極めて繊細ながら敵を切り裂く力を持ち、時には真空波を生じさせるほど。しかし、その動きの核となる足技が封じられた際には、効力を失う弱点がある。
レイの師であるロフウと、ロフウの妻リンレイも水鳥拳の使い手として描かれる。
レイは鳥影山でこの二人から拳を学び、闇闘崖での十日間の試練を経て、ロフウから正式な伝承者と認められた。
南斗水鳥拳には、「男拳」と「女拳」と呼ばれる二つの形式があり、それぞれ陽の剛拳と陰の柔拳を象徴している。完全な水鳥拳はこの二つを融合させた状態であり、ロフウは力強い「男拳」に重点を置き、新しい水鳥拳を創り上げたが、レイは後にリンレイから「女拳」を受け継ぎ、陰陽が融合した真の南斗水鳥拳を習得した。
南斗紅鶴拳
紅鶴拳は、「妖星」を宿星とし、伝承者はユダである。血で染められた鶴を象徴としており、美しさと残酷さを兼ね備えた殺人拳とされる。
この拳法は南斗108派のうち23派に影響を及ぼしている。
この拳法の特徴は、非常に速い拳の速度にあり、攻撃は相手の背中を突き抜けるほどの衝撃を持つ。この速さから生じる衝撃波は、離れた敵をも切り裂くことができる武器となる。ユダはこの技を使って、身動きできない状態のレイを攻撃し、一時的には勝利を手にした。また、この技はケンシロウも使用し、シュウを圧倒した。
その他の特徴としては、紅鶴拳は他の南斗聖拳とは異なり、主に縦に切り裂く攻撃が多い点がある。
南斗白鷺拳
南斗六聖拳の一つである「仁星」を宿星に持つ拳法は、伝承者シュウによって使われる。
この拳法は南斗聖拳の中でも珍しい脚技を中心にしたもので、切断力を持つ蹴り技を使うことが特徴。シュウは目が見えないが、そのために心の目で戦うとされ、その戦績から彼の拳の強さを判断するのは難しい。それでも、彼は複数の敵を倒す回転蹴りなどの強力な技を持ち、南斗十人組手ではサウザーに「自分だけがシュウと互角に戦える」と言わしめたほどの強さを持つ。
作中で脚技は予想外の攻撃として使われ、敵にダメージを与える。このことから、シュウの拳法は攻撃の予測を難しくし、常に敵を驚かせることに長けていると考えられる。
南斗鳳凰拳
南斗鳳凰拳は南斗六聖拳の一つで、「将星」を宿星に持ち、伝承者はサウザーです。
サウザーは南斗108派の中でも特に強い29派を束ねています。
この拳法は一子相伝で伝えられ、新しい伝承者によって前の伝承者が倒されることで拳を次代に伝えるという掟があります。
サウザーは15歳で自らの師匠であるオウガイを倒し、それ以来愛を否定して生きてきました。
彼の拳法は防御型ではなく攻撃的で、等しい敵と戦う際は「天翔十字鳳」という構えを使用します。極星十字拳をはじめとする彼の技は斬撃によって相手を切断することを目的としていますが、ケンシロウや他の強敵に対しては肉体を切断するまでには至っていません。
また、速さと突進力が特徴で、敵の攻撃を紙一重で避ける能力を持っています。サウザーは心臓の位置が通常と逆であり、これが南斗鳳凰拳と関係があるかは不明ですが、南斗の帝王としての地位と秘密を守るために一子相伝のシステムが存在しているとされています。
五車星の拳
南斗五車星は南斗慈母星を守るための拳法を使い、南斗聖拳108派には含まれないが、その威力は非常に強い。
五車星は風、雲、炎、山、海の称号にちなんだ拳法を持っているが、ジュウザは他の四車星とは異なり独自の我流拳を使う。ジュウザの拳法は型がなく変化に富んでいるため、実質的には存在しないとも言える。
その他
元斗皇拳
元斗皇拳は、体内の闘気を武器に変えることができる強力な拳法です。この闘気を使って、敵を一瞬で滅ぼしたり、体を蒸発させたり凍らせたりすることができます。この技を極めた者は「光る手を持つ男」と呼ばれ、過去には北斗神拳よりも強いとされていました。二千年の歴史を持ち、かつては天帝守護の拳として高く評価されていました。
極十字聖拳
北斗劉家拳に基づく拳法で、異端の天才・魏瑞鷹によって創始され、彪白鳳と流飛燕に伝承されました。この拳法は、秘孔術を使う点を除いて北斗の拳とは異なり、手刀を使って敵を切り裂く戦法が特徴です。使い手の手の甲には南十字星の紋章が刻まれており、南十字星は南極を指し示しているが、守る星がないため、伝承者は孤独を背負っています。
拳の本質は、血に酔うことで恐怖を克服し、命を断ち切ることにあります。流飛燕は死地に赴く前に自らを血で飾り、「死鳥鬼」と呼ばれますが、その血への酔いが師・魏瑞鷹の意図を理解できない原因だとされています。また、流飛燕は「千手羅行」という修行により非常に高い防御力を身につけましたが、秘孔を突く技には対応できなかったとされます。
この拳法は北斗神拳を超えることを目的として生み出され、使い手は北斗神拳に対する強い対抗意識を持っています。流飛燕は拳志郎に敗れた際、敗北を自身の過ちとみなし、自決を試みました。また、霞鉄心は、同じ思想を持つ義足の魏瑞鷹との直接の戦いを避け、弟子たちに拳法の決着を託しました。
西斗月拳
1800年前に月氏の民に伝わっていた経絡秘孔を操る秘拳があり、これが北斗宗家の拳と合わさって最強の暗殺拳「北斗神拳」が生まれた。
シュケンという門下生がこの拳法を使って西斗月拳の高弟たちを倒し、その結果、西斗月拳は歴史から消されたとされる。しかし、その怨念は消えず、月氏の血を引くヤサカによって現代に蘇った。ヤサカは北斗神拳に対する復讐心を抱き続けているが、その憎しみの根源は、ヤーマがシュケンに会いたいという強い思いが怨念に変わったものであることが判明し、ヤサカ自身がシュケンとヤーマの子孫であることも明かされた。
北斗神拳は一撃必殺だが、月氏の拳法は複数の秘孔を突く奥義を持ち、最後の秘奥義「相雷拳」で完成する。
これは戦場での複数の敵との戦いに適した拳法であり、一対一の戦いには向いていない。勝利のためなら手段を選ばず、敵を油断させる策を使うこともあるが、月氏の神は女性を殺すことだけは許さないとされている。
泰山天狼拳
リュウガの天狼星拳法は、狼の牙のように速く鋭い攻撃で、敵の体を素早く削り取る技です。この攻撃は非常に速いため、相手は流血する前に冷たさを感じることさえあるとされます。リュウガはこの拳法でアビダの首を切りつけたり、病で弱っていたトキに致命傷を与えたが、ケンシロウにはほとんど効果がなく、最終的には彼に敗れました。
泰山流双条鞭
ウイグル獄長は泰山流の鞭術の達人で、非常に高速で二本の鞭を操る技術を持っています。
彼はこの技術でケンシロウを圧倒しましたが、ケンシロウに軌道を見切られ、鞭の先を結ばれてしまい敗れました。また、脱獄しようとした空手使いに対しては、鞭を体に巻き付けて切り裂く「熊胴断波」という奥義を使用しました。
華山群狼拳
牙一族による中国拳法象形拳を基にした集団殺人拳は、複数の攻撃者が相手を取り囲んで素早く攻撃する戦法です。この戦法では、小柄な男が大柄な男の背後から不意打ちをかけたり、攻撃者が上下から同時に襲い掛かるなど、様々な攻撃方法を駆使します。しかし、この戦術はケンシロウとレイの二人には全く効果がなく、彼らには通用しませんでした。
※随時加筆予定