『北斗ファンド』は、2005年にSMBCフレンド証券が発表した信託型映画商品ファンドで、人気漫画『北斗の拳』を原作とする実写映画シリーズへの投資を目的としたユニークな金融商品だ。
1口10万円から投資可能で、興行収入やDVD売上に基づく分配金を謳い、投資家には特典として映画の前売券やエンドロールへの名入れが提供された。
バブル崩壊後の日本で映画ファンドが注目される中、漫画ファンの期待を集めたが、結果的に期待ほどの成果を上げず、話題は次第に薄れた。
2025年3月現在、当時の投資家コミュニティはほぼ消滅しているが、2025年3月15日、Xユーザーが「北斗ファンドって結局どうなったんだろうな」と投稿し、一部でその結末が再び話題に。
『北斗ファンド』とは何だったのか。その誕生から展開、終息、そして残したものを振り返る。
『北斗ファンド』の誕生と背景
『北斗ファンド』の起源は、2005年9月15日に遡る。
SMBCフレンド証券が「北斗ファンド-英雄伝説-」の販売を発表し、10月16日から募集を開始した。
原作『北斗の拳』は、武論尊と原哲夫による1983年開始の漫画で、単行本発行部数が1億冊に迫る人気作。2000年代にはパチスロ機の大ヒットで再注目され、映画化への期待が高まっていた。
SMBCフレンド証券は、証券会社として唯一、映画商品ファンドの許可を持ち、三井住友銀行を受託者に、ノース・スターズ・ピクチャーズ(NSP)をプロデュース委託先に据えた。
このファンドは、投資家から集めた資金で『北斗の拳』を原作とする実写映画5作品を製作し、収益を分配する仕組みだった。ケンシロウ役に阿部寛、ラオウ役に宇梶剛士が起用され、声優陣の豪華さが話題に。1口10万円、最低投資額10万円で、元本保証はないリスク商品として提示された。

バブル崩壊後の日本では、映画ファンドが新たな投資先として注目され、Xでは当時「北斗ファンドに10万突っ込むか迷う」との声が散見された。
漫画人気と映画ブームの交差点で生まれた企画だった。
全盛期:期待と盛り上がり
『北斗ファンド』の全盛期は、2005年の募集開始から2007年の映画公開準備期だ。
2006年、最初の作品『北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章』が劇場公開され、ファン層を中心に話題に。
投資家には宣伝チラシ、前売券、台本、エンドロールへの名入れといった特典が配られ、Xで「名前が映画に載るの熱い」と喜ぶ声が上がった。
製作費の一部はファンドで賄われ、興行収入やDVD売上でのリターンを期待する投資家も多かった。

公開当時、『北斗の拳』の知名度を背景に一定の集客を記録。
阿部寛のケンシロウや宇梶剛士のラオウは、原作ファンから「イメージ通り」と好評だった。


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しかし、批評家からは「原作の深みが薄い」「映像がチープ」との声も。
興収は数億円程度で、5作品の壮大な計画を支えるには力不足だった。Xでは「北斗ファンド投資したけど、映画微妙だった」との失望も見られた。期待の高さゆえに、全盛期は短命に終わった。
全盛期の特徴と魅力
『北斗ファンド』には、いくつかの特徴があった。
漫画人気との結びつき
『北斗の拳』のブランド力が最大の魅力だった。1億冊に迫る発行部数と、パチスロでの再ブーストが投資意欲を刺激。
Xで「北斗なら儲かるだろ」と楽観的な声が多かった。原作ファンが投資家として参加し、映画化への夢を共有した。
特典のユニークさ
投資家向けの特典が話題を呼んだ。
前売券やエンドロールへの名入れは、ファン心理をくすぐり、「参加感」を与えた。Xでは「10万で名前が残るなら安い」との意見も。
金融商品にエンタメ要素を融合させた点が新鮮だった。
リスクとリターンのギャンブル性
元本保証がないリスク商品ながら、興行成功で高リターンの可能性を秘めていた。
映画ファンド自体が日本で珍しく、Xで「当たればデカい」と期待された。
しかし、映画の成功に依存する不安定さが裏目に出た。
衰退と終焉への道
2007年以降、『北斗ファンド』は衰退した。最初の『ラオウ伝 殉愛の章』公開後、残り4作品の製作が停滞。
興収が期待を下回り、DVD売上も振るわず、資金繰りが悪化したとされる。
NSPのプロデュース力不足や、映画市場の競争激化が影響した可能性もある。2008年までに続編計画は事実上頓挫し、投資家への分配金は微々たるものに。Xでは「北斗ファンドで損した」との声が散見された。




金融危機(2008年リーマンショック)も追い打ちをかけた。
投資意欲が冷え込み、映画ファンド全体が下火に。
SMBCフレンド証券は2010年代に映画ファンド事業から撤退し、『北斗ファンド』の話題はほぼ消えた。当時の投資家コミュニティも解散し、詳細な収支報告は公開されなかった。
現在の状況と今後の展望
2025年3月18日現在、『北斗ファンド』は過去の金融商品として記憶されるのみだ。
映画『ラオウ伝 殉愛の章』はAmazon Prime Videoなどで視聴可能だが、ファンド自体の痕跡はほぼない。
2025年3月15日のX投稿が示すように、「結局どうなったのか」と振り返る声がたまに上がる程度。
投資家への最終的なリターンは不明で、一部の元投資家は「勉強代だった」と割り切っている。
今後、『北斗ファンド』が再び注目される可能性は低い。
映画ファンド自体が現代では稀で、『北斗の拳』の実写化もNetflixの別プロジェクト(仮)が噂されるのみ。
Xでは「また北斗でファンドやらないかな」との声もあるが、バブル期の勢いを再現するのは困難だろう。
『北斗ファンド』の遺したもの

『北斗ファンド』が残した影響は複雑だ。
まず、エンタメと金融の融合を試みた先駆けとして、ユニークな存在感を示した。
Xで「北斗ファンドは夢だった」と懐かしむ声が聞かれるように、ファン文化と投資を結びつけた意義は大きい。
また、特典を通じた「参加感」は、後のクラウドファンディングの原型とも言える。
一方で、失敗の教訓も残した。
映画の成功に依存するリスクの高さや、過剰な期待が裏目に出る危険性を露呈。
Xでは「ファンドはギャンブル」との意見が根強い。『北斗の拳』のブランド力だけでは支えきれなかった現実が、金融商品の難しさを示した。
まとめ:『北斗ファンド』の時代とその終焉
『北斗ファンド』は、2005年から2008年にかけて、『北斗の拳』の映画化を夢見た投資ファンドだった。
漫画人気とバブル後の投資熱を背景に注目されたが、興行の不振と経済危機で終焉を迎えた。
2025年3月、その記憶は薄れつつも、Xでの振り返りが細々と続く。
『北斗ファンド』とは、漫画の夢であり、金融の挑戦であり、そして儚い実験だった。振り返ると、2000年代のエンタメ投資の熱狂がそこにある。
興味があれば、『ラオウ伝』を観て、当時の期待の一端を感じてみるのもいいだろう。