「1億円が当たる」キャンペーンや、庵野秀明氏・GACKT氏・ひろゆき氏といった豪華な取締役陣で話題になったアバター通話アプリ「POPOPO(ポポポ)」が、2026年9月17日にサービスを終了した。サービス開始はその年の3月18日。運用期間はわずか半年ほどだった。
出資したのはドワンゴ創業者の川上量生氏で、私財から約30億円を投じたことを自身のXで明かしている。なぜこれほど早く終了に至ったのか、そして今アプリ内のコインはどうなるのか。公式発表と川上氏本人の発言をもとに整理する。
POPOPOとは何だったのか
POPOPOは、株式会社POPOPOが2026年3月18日15時に提供を開始したスマートフォン向けの通話・生配信アプリだ。最大の特徴は、カメラで顔を映す必要がない点にある。音声を感情解析し、その結果に応じて3Dアバターが自動で表情や身振りをつけて動く仕組みで、いわば「カメラ不要のテレビ電話・生配信アプリ」として設計されていた。ケータイWatchの報道によると、最大30人程度の同時通話にも対応していたという。
サービス開始にあたっては都内で大規模な発表会が開かれ、川上量生氏が全額自費で出資したことを表明。取締役には川上氏本人に加えて、庵野秀明氏、GACKT氏、西村博之(ひろゆき)氏という顔ぶれが並んだ。発表会には俳優の佐藤健氏や、映像作家の手塚眞氏もゲストとして登壇しており、「ニコニコ動画の創業メンバーが再集結した」として大きな注目を集めるスタートだった。
なぜわずか半年でサービス終了に至ったのか
公式発表でのサービス終了理由は、「今後の事業環境やサービスの最適化を総合的に検討した結果」という定型的な説明にとどまっている。一方で、出資者である川上量生氏本人はXで、もう少し踏み込んだ言葉で経緯を説明していた。
まず挙げているのが、資金規模の見積もり違いだ。川上氏は「30億ぽっちで勝とうとはずうずうしかった」「世界水準のSNSと競うには最低でも300億ぐらいは必要だった」と投稿しており、私財30億円という金額自体は個人の出資としては巨額だが、世界規模のSNS・コミュニケーションサービスと張り合うには一桁足りなかった、という趣旨の反省を述べている。
もうひとつが、アプリを日常生活に組み込ませることができなかった点だ。3月から6月にかけては「1等1億円が当たる」大型懸賞キャンペーンなどでユーザー獲得を狙ったが、報道各社の分析によれば、豪華な取締役陣や還元施策があっても「結局何に使うアプリなのか」というコアな利用目的が伝わりにくかったという。すでにDiscordやLINE、Vtuber向けの配信プラットフォームといった強力な代替手段が存在する中で、新規ユーザーの定着と収益化の両立という壁を越えられなかった格好だ。
なお、ひろゆき氏は配信などの場で「資金ショートで倒産したわけではなく、川上さんの心が折れてしまった(継続するモチベーションを失った)ことが主な要因ではないか」という趣旨の見解を述べており、この発言がSNS上で拡散・話題化した。これはあくまでひろゆき氏本人の分析であり、運営側が公式に認めた終了理由ではない点には注意しておきたい。
サービス終了までの時系列
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年3月18日 | サービス開始。都内で発表会。川上量生氏の全額自費出資、庵野秀明氏・GACKT氏・ひろゆき氏らの取締役就任を発表 |
| 2026年3月〜6月 | 「1等1億円」懸賞キャンペーンなどを実施するも、ユーザーの過疎化が指摘される |
| 2026年7月15日 | 公式・PR TIMESにてサービス終了を発表(終了予定日:9月17日)。同日、川上量生氏がXで出資額と反省・謝罪を投稿 |
| 2026年7月22日 | プレミアム会員の新規登録・更新停止、アプリ内コインの販売停止 |
| 2026年8月31日 | App Store・Google Playでの新規ダウンロード停止 |
| 2026年9月17日15:00 | サービス完全終了。有償コイン・LIVEポイントの払い戻し申請受付を開始 |
アプリ内で購入したコインは払い戻しされるのか
サービス終了にあたり、運営はユーザーへの返金対応を行っている。公式発表によると、未使用の「有償コイン」の払い戻しと、未交換の「LIVEポイント」の銀行振込申請が、2026年9月17日15時から11月17日15時までの期間、専用の申請フォームで受け付けられている。
対象は期間内に申請した分のみとみられるため、POPOPOで課金経験があり、まだコインやポイントが残っている場合は、期限までに公式サイトの案内を確認しておくとよさそうだ。
SNSでの反応
サービス終了の発表後、SNS上では「30億円使って半年で終わるのは凄すぎる」「結局一回も使わずに終わった」といった投稿が見られた。一方で「アバターのクオリティは高かったが、友達同士で使う理由が見つからなかった」という、サービス自体の完成度と普及のしにくさを分けて評価する声もあった。
これらはあくまでSNS上で見られた個別の反応であり、ユーザー全体の評価を代表するものではない点は踏まえておきたい。
まとめ
POPOPOは、ニコニコ動画の創業者として知られる川上量生氏が私財約30億円を投じ、庵野秀明氏・GACKT氏・ひろゆき氏という異色の取締役陣で始まったアバター通話アプリだった。カメラ不要で3Dアバターが自動で動くという技術面の目新しさや、豪華な布陣、大型キャンペーンで初動の話題性は十分にあったものの、日常的に使う理由をユーザーに提示しきれず、開始からわずか半年でサービス終了に至った。
川上氏本人が認めているように、勝負するには投資額の桁が一つ足りなかったという見方もできるが、それ以上に「なぜこのアプリを毎日使うのか」という利用目的を作れなかったことが、既存の通話・配信サービスとの競争で埋没した理由と言えそうだ。未使用コインなどの払い戻しは2026年11月17日まで受け付けられている。
「30億円でも足りなかった」と振り返った川上量生氏が、新しいルールや仕組みをどう考えてきたかを綴った一冊。POPOPOの顛末を踏まえて読むと、また違った角度で読める。
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