愛知・名古屋で開催中のアジア大会で、11歳の小学生がアジア大会史上最年少のメダリストになった。ぷよぷよeスポーツで金メダルを獲得した栗原悠輝(くりはら ゆうき)選手だ。
「ぷよぷよ日本代表」という肩書きの新鮮さに加えて、優勝を決めた瞬間に表情を変えなかったこともSNSで話題になっている。この記事では、栗原選手がどんな経緯で金メダルにたどり着いたのか、そしてどんな人物なのかを、確認できている報道と公式発表をもとに整理する。
栗原悠輝選手のプロフィール
栗原悠輝選手は2015年6月18日生まれ、東京都出身の11歳(小学5年生)。身長は157センチで、東京ヴェルディeスポーツに所属している。
ぷよぷよを始めたきっかけは、6歳のクリスマスに母親から「ぷよぷよテトリス2」をプレゼントされたことだった。そこから小学1年生で本格的に競技を始め、全国都道府県対抗選手権の小学生の部で2年連続優勝するなど結果を積み重ねてきた選手だ。
2026年4月17日には、セガの公式発表により、同世代の「きーくん」選手(埼玉県)とともに小学生として初めてJESU(日本eスポーツ協会)公認のプロライセンスを取得している。これは2026年2月にJESUが公認プロライセンス制度を改定して年齢制限を撤廃したことを受けたもので、栗原選手はそれまでも大会優勝に見合う成績を挙げていたが、制度上プロ推薦が保留されていたという背景がある。
決勝までの戦績、そして「大連鎖」
今回の舞台は、2026年9月19日から10月4日まで愛知県・名古屋市を中心に開催されている第20回アジア競技大会。eスポーツは正式なメダル競技として11種目13タイトルで実施され、栗原選手はそのひとつ「ぷよぷよeスポーツ」に出場した。
栗原選手はグループステージを3戦全勝でトップ通過し、準々決勝でシンガポール代表を5-0で、準決勝でタイ代表のウォンキティクン・タナラク選手を10-1で退けて決勝に進出した。
9月26日の決勝の相手は、24歳の韓国代表カン・ドンシン選手。第2ゲームで栗原選手が15連鎖を決めて1-1の同点に追いついたあとは、11連鎖、13連鎖と終始リードを握り、最終的に10-2で勝利した。栗原選手の得意技は、ぷよを次々とつなげて一気に消す「大連鎖」で、これまでの大会でも大人の選手を相手に武器としてきたという。自己最大記録は19連鎖にのぼる。
「最年少」の記録は2つある
今回の金メダルには、報道によって表現が少し異なる2つの「最年少」記録がある。
ひとつは、アジア大会そのものの歴史における最年少メダリストという記録だ。これまでの最年少メダリストは、2018年ジャカルタ大会のスケートボード女子ストリートで銅メダルを獲得した、当時12歳のブンガ・ニマス選手(インドネシア)だった。11歳3か月の栗原選手はこの記録を更新し、大会創設以来の最年少メダリストになった。
もうひとつは、日本選手団に限った記録だ。AFPは今回の金メダルを「アジア大会における日本勢の金メダリストとしては、史上最年少の快挙」と伝えている。
さらにスポニチアネックスは「eスポでも日本初金」と報じている。アジア大会でeスポーツが正式なメダル競技になったのは、前回2023年の杭州大会(第19回)からで、当時の日本はメダルを獲得できていない。今回が日本にとってアジア大会のeスポーツ競技における初めての金メダルである可能性は高いが、過去大会の日本のメダル獲得数を一覧化した一次資料までは確認できておらず、この点はあくまで報道内容として紹介しておく。
優勝の瞬間、表情を変えなかったことが話題に
栗原選手の金メダルが話題になったのは、記録の内容だけではない。優勝を決めた直後、表情をほとんど変えなかったことにも注目が集まった。
X上では「勝って当然の表情。貫禄ヤバすぎw」「金メダルとってもクールな表情」といった投稿が見られ、実況者も「鳥肌が立ちました」と反応するなど、試合の視聴者は4万人を超えたという。
ただ、本人の説明はイメージとは少し違うものだった。表情を変えなかった理由について、栗原選手はこう話している。
>「表情を変えるの、正直ちょっと恥ずかしくて…正直に言うと、めちゃくちゃ嬉しかったです」
決して淡々としていたわけではなく、人前で喜びを表すのが恥ずかしかったというのが本人の説明だ。テレビ朝日「グッド!モーニング」の取材では、こんな喜びの声も届けている。
>「ぷよぷよeスポーツ日本代表のゆうきです。金メダルを取った気持ちは、やっぱりめちゃくちゃうれしくて、金がめちゃくちゃ本当にキラキラしていて、めちゃくちゃいいです」
素顔は”鉄道好き”の11歳
競技以外の栗原選手の素顔も、報道でいくつか紹介されている。
好きな科目は算数と社会、好きなスポーツは卓球とサッカー、好きな作品は「ポケモン」シリーズ。将来の夢は電車の運転士で、ぷよぷよを始めるよりも前から鉄道が好きだったという。お気に入りは小田急電鉄の4000形とのことだ。
もうひとつの趣味として紹介されているのが、お小遣いで宝石の原石を集めることだ。優勝の自分へのご褒美を聞かれた際には、次のように答えている。
>「まずは宝石(天然石の原石)を買いたいのと、旅行したいですね。あとこの後、親子丼を食べたいなと思います」
今後の目標については、「理想の自分になれたので、また新たな理想を考えていっぱい努力して、練習していきたいなと思います」とコメントしており、次の目標に向けて練習を続けていく意向を示している。具体的に次にどの大会を目指すのかは、現時点では確認できていない。
まとめ
栗原悠輝選手は、6歳のクリスマスに贈られた「ぷよぷよテトリス2」をきっかけに競技を始め、小学生初のプロライセンス取得を経て、11歳でアジア大会史上最年少メダリストという記録に到達した選手だ。優勝直後のポーカーフェイスが話題になったが、本人の言葉からは「恥ずかしくて表情に出せなかった」という、年齢相応の素直さもうかがえる。鉄道好きで宝石の原石集めが趣味という一面も含めて、今後も「ぷよぷよ日本代表」としての活躍が注目される選手と言えそうだ。
栗原選手が金メダルを獲得した種目は、Nintendo Switch版「ぷよぷよeスポーツ」でもそのまま遊べる。連鎖の駆け引きを実際に体験してみたい人は、手元に置いておくのもいいかもしれない。




