ニデックの不正問題が、また注目されています。10月1日に新社長が会見を開いたほか、X(旧Twitter)では「ニデックは川口春奈さんに謝ってほしい」という投稿も目立ち始めました。
この記事では、そもそも何が不正だったのか、上場はどうなるのか、なぜCMに出ていた川口さんの名前が出ているのかを、2026年10月4日時点の報道と公式発表から整理します。
先に要点を書きます。
- 不正は「会計」と「品質」の2種類で、約1年かけて広がった
- 前社長が9月29日に辞任し、10月1日に戒田理夫氏が新社長として会見した
- 東証の審査は、2026年10月末が節目とされている。上場廃止が決まったわけではない
- 川口さんへの「謝れ」は、ファンを中心とした一部の投稿。川口さんの不正関与を示す情報は確認できない
何が不正だったのか:会計と品質の2つ
会計不正
ニデックの公式サイトによると、第三者委員会が認定した不適切な会計には、次のようなものがあります。
- 価値のない在庫や、見込みどおりに売れない設備の損失(減損)を先送りした
- 人件費などを固定資産として計上し、費用の計上を遅らせた
- 受け取る資格のない補助金を収益に計上した
- 回収できない債権に備える引当金を、少なく見積もった
きっかけは2025年7月です。中国子会社で、取引先の値引き相当(約2億円)の処理が適切でなかった可能性が見つかりました。9月3日に第三者委員会が設置され、2026年2月に調査報告書が出ています。
報告書は、背景に創業者・永守重信氏による強い業績プレッシャーがあったと分析しました。報道によると、永守氏が不正を指示・主導した事実は見つからなかった一方、一部の不正を容認したとの評価は免れないとも指摘されています。
品質不正
会計の問題が収まらないうちに、2026年5月ごろから品質面の不適切行為も明らかになりました。報道では、顧客に確認せず部材や設計を変えていたケースなどが挙げられています。
件数は報道によって違います。時事通信は、9月4日に公表された調査報告で844件と伝えています。株主総会(6月)の時点では、「1000件超の疑い」とも報じられていました。調査が進むなかで数字が変わっているとみられますが、どちらが最終的な数字かは今回の取材では確認できていません。
時系列で見る1年間
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年7月 | 中国子会社の不適切会計の疑いが判明 |
| 2025年9月3日 | 第三者委員会を設置 |
| 2025年10月28日 | 東証が「特別注意銘柄」に指定 |
| 2026年2月 | 永守氏が名誉会長を辞任。第三者委が報告書を受領(最終報告は4月) |
| 2026年5月ごろ | 品質面の不適切行為が判明 |
| 2026年6月18日 | 株主総会。約4時間に及び、永守氏の責任を問う声が出た |
| 2026年9月4日 | 品質不正の調査報告が公表 |
| 2026年9月29日 | 岸田光哉社長が辞任 |
| 2026年10月1日 | 戒田理夫氏が新社長として会見 |
上場はどうなるのか
東証は2025年10月、ニデックを「特別注意銘柄」に指定しました。社内の管理体制に問題があると判断された会社への措置で、改善が認められなければ上場廃止になる可能性があります。
報道では、指定から約1年後の2026年10月末が審査の節目とされています。ただし、1年たてば自動的に解除されるわけではなく、見られるのは管理体制が実際に機能しているかどうかです。
もう一つの壁が、監査法人の「意見不表明」です。決算に対する意見を監査法人が出せなかった状態で、共同通信によると、ニデックは2026年3月期の有価証券報告書で適正意見の取得を目指すと発表しています。
新社長は10月1日の会見で、「品質第一にした会社に戻す」と述べ、ガバナンス(会社を管理する仕組み)の強化などの課題を月内に解決する考えを示しました。2026年3月期の最終赤字は5,646億円と報じられており、会社の立て直しも並行して進める必要があります。
2026年10月4日時点で、上場廃止は決まっていません。
なぜ川口春奈さんに「謝れ」の声が出たのか
ここからは、10月3日に日刊ゲンダイDIGITALが報じた内容と、そこから考えられることを分けて書きます。
報じられていること
川口春奈さんは、2023年4月に始まったニデックのCMシリーズ「ニデックってなんなのさ?」に出演していました。最新版は2025年5月のものです。報道によると、CMのテレビ放送は終了しています。
Xでは、「ニデックはとりあえず川口春奈に謝ってほしい」といった投稿が見られると、同紙は伝えています。背景について、2026年8月に川口さんが結婚と妊娠を発表し、おめでたい話題とニデックの騒動が重なって見えたファンが憤っている、という見方もスポーツ紙の芸能デスクの話として紹介されています。
確認できていないこと
- 川口さんが不正に関わっていたことを示す情報は、確認できません。CMの放送は、不正が表に出る(2025年7月)前から始まっています
- ニデックが川口さんに謝罪したという報道も、確認できていません
- 「謝れ」の投稿は、あくまでX上の一部の声です。世間全体の意見とは言えません
筆者の考察
ここは事実ではなく、筆者の見方です。CMの出演者は、その会社の「顔」として記憶されやすい存在です。会社が信頼を失うと、顔だった人にまで感情が向かってしまう構図が起きやすいのだと思います。今回の投稿の多くは、川口さんを責めるというより、ファンが川口さんを守ろうとする気持ちから出ているように見えます。ただ、本人に責任がない点は、はっきり分けて考える必要があります。
まとめ
ニデックの問題は、中国子会社の約2億円の処理から始まり、会計不正、品質不正、社長交代へと広がりました。東証の審査が控える10月末が、大きな節目になりそうです。
川口さんの名前が出ているのは、CM出演という接点があったためで、本人の関与は確認されていません。ニデックの株を持っている人や取引先の人は、ニュースだけでなく、会社の公式発表(IR情報)を確認しておくと安心です。


