深センで「抓痒馆」を開いた張小橋とは何者か?体をかくだけで月収20万元超えを稼ぐビジネスの正体

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中国・広東省深センで、客の体を優しく引っかいてリラックスさせる「抓痒馆(ジャオヤンクワン)」というサロンを開き、月に20万元(日本円で約400万円)を超える売上を上げている32歳の男性がいる。

体をかいてもらうためだけに、わざわざ店に足を運んでお金を払う。そんなサービスが中国で本当に成立しているのか、疑わしく思う人もいるはずだ。この記事では、彼が何者なのか、なぜこのビジネスを始めたのか、そしてどのように話題になっているのかを、中国メディアの報道をもとに整理する。

なお、この人物について日本語で紹介した記事は、2026年9月22日時点では見当たらなかった。海外でバズった直後の人物を日本語でいち早く紹介するという意味では、084deepsが以前取り上げた「ハイヒールおじさん」の再来ともいえる案件だ。

「抓痒馆」を開いた張小橋さんとは

話題の中心人物は、深センで「酥眠抓痒馆(スーミン・ジャオヤンクワン)」というサロンを経営する張小橋(Zhang Xiaoqiao)さん、32歳。

中国メディアの取材によれば、大学卒業後の1年間だけで7回も転職を繰り返し、その後2度にわたって起業に挑戦するもいずれも失敗している。クラウドファンディング関連の事業や、自分で動画を発信する「自媒体(セルフメディア)」の運営も試したが、いずれも軌道に乗らなかったという。

出身地や学歴の詳細については、報道によって記述が薄く、裏付けの取れる一次情報は確認できなかった。少なくとも「何をやってもうまくいかなかった20代を過ごした」という点は、複数のメディア取材で共通して語られている。

なお、英語圏の紹介記事の一部では本人の名前を「Zhang Xiaochao」と表記しているものがあるが、捜狐・騰訊新聞・新浪新聞・深セン市の地元メディア「深セン新聞網」など、中国語の複数の報道では一貫して「张小桥(Zhang Xiaoqiao)」と表記されている。この記事では中国語報道の表記に揃え、「張小橋」とする。

きっかけは父親に背中をかいてもらった子どもの頃の記憶

張さんが「引っかき」をビジネスにしようと思い立ったきっかけは、子どもの頃の記憶だったという。

父親に背中をかいてもらうと安心してすぐに眠れた、という原体験があり、そこから「これを商品として成立させられないか」と考えるようになった。実際にサービス化するまでには、人体を5つの大きな「かゆみゾーン」と30以上の細かいゾーンに分類し、独自の手技を確立するまで約4カ月を要したと本人は説明している。

スタッフは自分の爪ではなく、特製の先端の丸いつけ爪を使って客の体を引っかく。料金は施術内容によって分かれており、報道によれば頭と背中を中心とした30分コースが約100元、上半身60分コースが約200元、全身に足の「泡風呂」までついた80分コースが289〜299元(報道により表記に幅がある)となっている。

月収は20万元超え、客の7割が男性

張さんの店は深セン市内の福田区と福永区(宝安区)の2カ所にある。中国メディアの報道を総合すると、福田店だけで月16万〜17万元、福永店で月10万元前後の売上を上げており、2店舗合計ではおおむね月20万元台後半に達しているとみられる。開業からおよそ2カ月で投資を回収できたと本人は語っている。

利用客は都市部で働く会社員が中心で、ストレスや不眠の解消を目的に訪れる人が多いという。男性客が7割を占めるという報道もあり、「マッサージよりリラックスできる」「常連になった」という声も紹介されている。

店には1日に数百件もの問い合わせが技術指導やフランチャイズについて寄せられているといい、張さんは専門学校との提携や、慎重な形での加盟店展開を模索しているという。「将来、『抓痒師』という仕事がもっと広く認知されるようになってほしい」と語っている。

「際どいのでは」という批判にも直面

ユニークなビジネスとして拡散する一方で、一部のネットユーザーからは「性的に際どいサービスなのではないか」という、いわゆる「擦边(ツァーピエン)」批判も出ている。

これに対して張さんは、「サービスは終始合法で、意図的に体を露出させることはない」「オンラインで問い合わせがあっても、あいまいな返答で客を店に呼び込むようなことは絶対にしない」と明確に否定している。この発言は複数の中国メディアで共通して報じられており、単発の言い訳ではなく一貫した立場のようだ。

中国のネット上の反応は割れている。「ちょっと際どい」という懐疑的な声がある一方で、「こんな店が本当にあったとは」という驚きや、「都市部で人に触れる機会が減っている中で、こういう需要があるのは分かる」といった理解を示す声も見られる。

なぜ話題になったのか

張さんのケースが注目された理由は、大きく2つ考えられる。

1つは、「体をかいてもらうだけ」という一見地味なサービスが、実際にビジネスとして成立し、しかも月収20万元を超える規模になっているというギャップだ。もう1つは、都市部で働く人たちの間で、誰かに軽く触れてもらう機会そのものが少なくなっているという、現代的な孤独感やストレスを映し出すテーマ性にある。

中国では2026年8月下旬に潇湘晨報、極目新聞、斉魯晩報といったメディアが相次いで報じたのをきっかけに、捜狐・騰訊新聞・網易・新浪新聞など主要なニュースポータルに転載され、一気に拡散した。国際通信社ルプツィ(Ruptly)も9月19日付で映像を配信しており、9月に入ってからも話題が続いている。

一方で、開業の正確な時期については確認できる一次情報がなく、「開業からおよそ2カ月で投資回収」という証言から逆算すると、2026年の春から初夏ごろに始まった事業とみられるが、この記事では推測にとどめておく。

まとめ

深センで「抓痒馆」を開いた張小橋さんは、1年で7回の転職、2度の起業失敗という紆余曲折を経て、子どもの頃の記憶をヒントにしたユニークなサービスにたどり着いた人物だった。月収20万元超えという実績と、「際どいのでは」という批判の両方を抱えながらも、フランチャイズ展開を模索するなど、事業として着実に拡大を続けている。

中国国内ではすでに大きな話題になっている一方、日本語での紹介はまだほとんど見当たらない。今後、日本のSNSや動画サイトで紹介される機会が増えていくのか、注目しておきたい。

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