私が中学生の頃、登下校でいつも歩く道の電柱が突如ジャックされたかのように、怪しげなチラシが貼り付けられたことがあった。
なにかこう、中学生の自分には理解のできない芸術的な雰囲気の人っぽい不気味なイラストの上に『ザザンボ』と書いてあり、そのポスターの上から殴り書きの文字で「ハンカチを持参ください」と書いた紙が貼り付けてあった。
当時はネットなんかなく、口コミが若造たちの情報伝達のメインだったのですが、友達に
「ザザンボって知ってる?」と聞くと
「あぁ、エロいやつでしょ?」
とか
「ザ・ショックみたいな気持ち悪いやつでしょ?」
「観て救急車で運ばれた人がおるって」
と、てんでバラバラの答え。
観てないから適当に答えてたんでしょうな。
でも、真相を突き詰めることはなかった。
その当時は、そんなことより100メガの『NEO・GEO』がマジですごいとか、オリンピックのバスケのドリームチームがヤバいとかそんな話題ばっかりで、気味の悪い映画なんてどうでも良かったから…。
NEOGEO Mini インターナショナル版 ネオジオ ミニ 国際版 NEO GEO Mini アーケード ゲーム機 「ザ・キング…
大人になり、ふと思い出す
それから何年も経ち、調べ物が簡単に出来てしまうインターネッツを手にして生活していたある日、その時働いていた、職場の同僚とお互いの中学校の頃の話をしていた時にふとこのポスターが頭をよぎり調べてみたことがありました。
もしかしたらきっと、私と同じように気になってしょうがない人がいるかもしれないので、諸々まとめてみます。
『ザザンボ』とは
1992年に制作された渡辺文樹監督の映画。
1976年12月に福島県田村郡三春町で実際に起きた中学生の自殺事件(福島県要田中学校生徒自殺事件)をベースとした内容のもの。
渡辺文樹
上映日、料金、「発禁確実」「見たらきっと吐く」などのキャッチコピーが書かれたポスターを街角に貼って宣伝し、全国の映画館ではなく公民館などで上映。
ポスターのキャッチコピーを鵜呑みにした客と、上映場所でトラブルになり警察が出動したこともあるようです。
炎上系YouTuberの走りみたいなもんでしょうか?
1999年には屋外広告物条例違反(宮崎市)で逮捕。
その他諸々、色々とやらかしているようです。
渡辺文樹 監督作品
『家庭教師』(1987年)
『島国根性』(1990年) – カンヌ国際映画祭出品、日本映画監督協会新人賞(奨励賞)
『ザザンボ』(1992年)
『バリゾーゴン』(罵詈雑言、1994年)
『腹腹時計』(1999年)
『阿鼻叫喚』(2003年)
『御巣鷹山』(2005年)
『ノモンハン』(2008年)
『天皇伝説』(2008年)
『三島由紀夫』(2008年)
『赤報隊』(2008年)
『政治と暴力』(2010年)
『金正日』(2011年)
『安倍晋三 CIAにいいなりの男』(2015年)
タイトルだけを目にするとかなり社会派ぽい感じで、日本のマイケル・ムーア路線かと思われそうなのですが、前述の興行の仕方や記述はしてませんが、旅館の宿泊費未払いで逃走など、残念なくらいセコいやらかしが多いので、タイトルだけでの判断は危険ですね。
逆のこの人を題材にして映画撮れば、ヒットしそうなんですけどね。
NETFLIXなんかじゃウケそうなもんですけど。
- 「30年早すぎた、炎上系の鬼才」
- 「社会に順応しない“社会派”」
- 「電柱に死神を宿す男」
- 「マイケル・ムーアじゃねーわ(真顔)」
ってキャッチコピーで。