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『頂き女子』とは、なんだったのか

〇〇とは、なんだったのか
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『頂き女子』は、2020年代初頭にSNSで注目された日本の社会現象であり、男性から金銭をだまし取る行為を指すスラングだ。
中心人物である「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣が火付け役となり、恋愛感情を利用した詐欺的手法で一世を風靡した。
彼女は男性から1億5500万円を騙し取り、さらにその手口を記した「魔法のマニュアル」を販売し、詐欺ほう助罪でも起訴された。
2025年1月16日、最高裁判所が上告を退け、懲役8年6か月と罰金800万円の実刑判決が確定し、彼女の物語は法的な終幕を迎えた(NHK報道)。
2025年3月現在、関連事件の裁判が続き、頂き女子の影響は議論を呼んでいる。
『頂き女子』とは何だったのか。その誕生から全盛期、衰退、そして残したものを振り返る。

『頂き女子』の誕生と背景

『頂き女子』の起源は、2021年頃に遡る。渡辺真衣(当時22歳)がTwitter(現X)で「頂き女子りりちゃん」を名乗り、「おぢ」と呼ぶ中年男性から金銭を「頂く」行為を公言したのが始まりだ。
彼女は、貧困や借金を理由に同情を誘い、恋愛感情を煽るメッセージでターゲットを操った。
元々ホストクラブに通う生活を送っており、その資金を得る手段としてこの行為を始めたとされる。
Xでは「頂き女子りりちゃん」がトレンド入りし、彼女の投稿が拡散された。

この現象は、パパ活やギャラ飲みとは異なり、「対価のない金銭授受」が特徴だった。
パパ活がデートや時間を対価とするのに対し、頂き女子は会うことなく、オンラインでのやり取りだけで金を引き出した。
渡辺は「魔法のマニュアル」を作成し、1セット3万円で約1000人に販売。
マニュアルには、「病み営業」や「夢に出てきたよ」といった言葉で男性を惹きつける手法が詳細に記されていた。
Xでは「頂き女子の教科書」と話題になり、模倣者が続出した。

背景には、コロナ禍での経済的困窮とSNSの普及がある。
若い女性が直接会うリスクを避け、オンラインで稼ぐ手段として頂き行為が広がった。
渡辺自身、「ホストに月1000万円渡すため」と動機を語り(東海テレビ『ドまんなか!』2024年9月27日放送)、幼少期の愛情不足も影響したと明かした。

全盛期:頂き女子ブームの拡大

『頂き女子』の全盛期は、2022年から2023年だ。
渡辺の活動がピークを迎え、被害総額は1億5500万円に達した。
彼女は3人の男性を主なターゲットにし、「生活費がない」「借金で困っている」と嘘をつき、時には一人二役を演じて金を引き出した。
被害者の中には生命保険を解約して全財産を渡した人もいた(名古屋地裁2024年4月判決)。
Xでは「りりちゃんすげえ」「頂き女子最強」と賛否が飛び交った。

マニュアル販売も拡大し、購入者による詐欺が全国で発生。
2023年8月、渡辺は詐欺容疑で逮捕され、マニュアル購入者の加藤ありさ(22歳)も845万円を騙し取った罪で起訴された(Yahoo!ニュース2024年12月4日)。
頂き女子の手法は、YouTuberコレコレのインタビューで詳細が暴露され、「2億円以上稼いだ」との主張が話題に。
Xでは「頂き女子=詐欺の新形態」と認識が広がった。

メディアも注目し、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』(2021年11月11日放送)では「コロナ禍で増殖する頂き女子」として特集。
裏社会ジャーナリストが「古典的手口がSNSでブーストされた」と分析した。頂き女子は一時、若者の間で「賢い稼ぎ方」とさえ見なされた。

全盛期の特徴と手法

頂き女子の全盛期には、明確な特徴があった。

恋愛感情の搾取

頂き女子は、ターゲットの恋愛感情を利用する点で際立っていた。
出会い系アプリやSNSで中年独身男性に接触し、「彼女」として信頼を築いた後、金銭を要求。
渡辺は「一緒に住めたらいいね」などの甘い言葉で心理を操作した。
Xでは「頂き女子の手口が怖い」との声が多かった。

マニュアルの普及

「魔法のマニュアル」は頂き女子のバイブルだった。
男性心理を分析し、「病んだフリ」や「感謝の過剰演出」を指南。
購入者はこれを実践し、全国で被害が拡大した。
渡辺はマニュアル販売で約2000万円を稼ぎ、詐欺ほう助罪の根拠となった(NHK2024年4月22日)。

ホストとの結びつき

頂き女子の多くは、ホストクラブに貢ぐために活動。
渡辺は1億円以上をホストに費やし、元ホスト田中裕志(27歳)は彼女から3800万円を受け取ったとして組織犯罪処罰法違反で有罪判決を受けた(NHK2024年11月7日)。
Xでは「ホストと頂き女子の共生」と揶揄された。

衰退と法的な終焉

2023年8月の逮捕を機に、頂き女子ブームは衰退した。
渡辺は詐欺罪と詐欺ほう助罪で起訴され、2024年4月、名古屋地裁で懲役9年・罰金800万円の判決を受けた。
裁判長は「男性心理を手玉に取る狡猾な犯行」と非難(NHK2024年4月22日)。

被告側が控訴したが、2024年9月、名古屋高裁は懲役8年6か月に減刑。
ホストからの一部弁済が考慮された(NHK2024年9月30日)。
2025年1月16日、最高裁が上告を退け、実刑が確定した。

関連事件も続いた。2025年2月、加藤ありさに執行猶予付き判決が下り(TBSニュース2025年2月6日)、3月には田中裕志の追徴金が免除された(BIGLOBEニュース2025年3月12日)。
頂き女子の模倣者も摘発され、Xでは「頂き女子の終わり」との声が広がった。

社会的な批判と法の網が、現象を収束させた。

現在の状況と今後の展望

2025年3月13日現在、頂き女子はほぼ過去のものだ。

渡辺は服役中で、マニュアル購入者への捜査も一段落。
SNSでは「頂き女子りりちゃん」がネタとして語られるが、新たな動きはない。

Xでは「頂き女子って何だったんだろう」と振り返る投稿が見られる。
一方で、類似行為への警戒は続き、警察は出会い系詐欺の監視を強化している。

今後、頂き女子が再燃する可能性は低い。
法的なリスクが周知され、SNSの規制も厳しくなった。
だが、パパ活やオンライン詐欺の進化形が現れる懸念はある。
Xでは「次はどんな詐欺が出てくるか」との予測も飛び交う。
頂き女子は一つの時代の終わりを示しつつ、新たな警鐘を鳴らした。

『頂き女子』の遺したもの

『頂き女子』が残した影響は複雑だ。
まず、SNS時代の詐欺の危険性を浮き彫りにした。
オンラインでの信頼構築が、いかに簡単に悪用されるかを示し、Xで「ネット恋愛は怖い」との声が上がった。
被害者の精神的・金銭的ダメージも深刻で、「一緒に暮らしたかった」と憤る男性の声が報道された(東海テレビ2024年9月27日)。

また、ホスト文化との結びつきが問題視された。

頂き女子の資金がホストに流れ、犯罪の連鎖を生んだ事実は、社会構造の歪みを露呈。
Xでは「ホストと頂き女子は共犯」との指摘が多かった。
法的な教訓もあり、マニュアル販売が詐欺ほう助罪に該当する判例は、今後の類似事件に影響を与えるだろう。

一方で、一部の若者には「頂き女子=したたかな生き方」と映り、共感も生んだ。

渡辺への同情論がXで拡散し、被害者への誹謗中傷すら発生した(東海テレビ2024年9月27日)。
この二極化は、現代社会の価値観の混乱を象徴している。

まとめ:『頂き女子』の時代とその終焉

『頂き女子』は、2021年から2025年にかけて、SNSを舞台に広がった一過性の現象だった。
渡辺真衣の「りりちゃん」ブランドが火をつけ、恋愛詐欺とマニュアル販売で頂点を極めたが、法の裁きで終わりを迎えた。
2025年3月、その名はネタとして語られるのみだ。

『頂き女子』とは、巧妙な詐欺であり、時代の産物であり、そして人間の欲望を映す鏡だった。
振り返ると、デジタル社会の光と影がそこにある。